邦銀が収益源を広げる好機

三菱UFJ、三井住友、みずほの3社に、りそなと三井住友トラストを加えた五大銀行グループの2012年3月期決算は、合計最終利益が2兆4000億円と前の期に比べ36%増えた。5年ぶりの高い利益水準だ。

 リーマン・ショックの後遺症やギリシャ危機に苦しむ米欧銀は、世界的に業務を縮小してきた。対照的に邦銀は海外融資を伸ばすなど、積極的な姿勢も目立ち始めた。今後は収益力を高めるため、個人の資産運用や企業の国際化などを支援するサービスを充実させることが課題となる。

 前期決算の中身を見ると、邦銀の経営は決して安泰ではない。国内の貸し出しは伸び悩み、預金で集めたお金を国債などの有価証券に回す傾向が強まっている。たとえば前期に1兆円近い最終利益をあげた三菱UFJは、有価証券の残高が78兆円と、84兆円の貸出金に迫るほどに増えた。

 国債は金利が下がれば価格が上がるため、売買益をあげられるが、金利が上昇すると損失が出かねない。収益源の多様化が急がれる。

 個人に預金だけでなく投資信託や保険を提供したり、運用・相続の相談に乗ったりするといったサービスを厚くする必要がある。

 企業向けでは、体力の弱った欧州銀に取って代われる業務が多い。輸出入の決済や信用補完といった貿易金融や大型プロジェクト向け融資の分野で、欧州銀の退潮が目立つ。これは邦銀が収益源を広げるための好機となる。

 すでに邦銀はバブル崩壊で抱えた不良債権の処理を終え、ここ数年に限れば証券化商品や南欧国債の損失で打撃を受けた米欧銀に比べ、資産の傷みは少ない。今のところ新しい自己資本比率規制を達成するために、改めて増資をしなくても済みそうだ。

 成長が見込まれる分野にお金を回す機能を磨き、個人や企業の役に立つ。収益力を高め、市場が混乱しても安定的に利益をあげる。邦銀にとって今は、そうした戦略を練り実行する大事な時だ。

 

2012/5/21 3:30

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About Uy Do

Banking System Analyst, former NTT data Global Marketing Dept Senior Analyst, Banking System Risk Specialist, HR Specialist
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